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睡眠時無呼吸症候群SAS(いびき)は治るのか?
睡眠時無呼吸症候群SAS(いびき)って完治するんですか?という質問を受けることがありますが、結論としては特効薬、根本治療が無く完治は難しいとされています。
しかし、治療によって睡眠時の無呼吸状態を軽減させることにより、いびきや頭痛・集中力や記憶力の低下などの睡眠時無呼吸症候群からくる体調不良を解消することが期待できます。
【睡眠時無呼吸症候群とは】
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に何度も呼吸が止まる病気です。
日本においても300万人以上が睡眠時無呼吸症候群予備軍と言われており、交通事故や労働災害、心疾患などにも繋がる危険性を持った怖い病気です。
詳しくはこちら
【睡眠時無呼吸症候群の治療と効果】
睡眠時無呼吸症候群の治療には、生活習慣を改めるものや専用の器具を用いるものなど、いくつかの選択肢があります。
・CPAP療法
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)とは、専用の器具で圧力をかけた空気を鼻から送り、気道(空気の通り道)を広げることで睡眠中の無呼吸やいびきを解消する治療法です。
CPAPによる治療を受けた場合と受けなかった場合では、治療を受けた方は病気の無い方とほぼ同じ睡眠状態となり日中の眠気がほとんどなくなったという結果もあります。
また、治療を受けた方と受けなかった方とでは、心筋梗塞や脳梗塞になる確率に3倍の差が出るというデータがあります。
・マウスピース(口腔内装置)
マウスピースを寝る前に着用いただくことで、顎を強制的に前へ移動させ、舌が落ち込み気道を閉塞するのを防ぎます。歯科もしくは口腔外科の受診が必要です。
・薬による治療
睡眠時無呼吸症候群を薬で治療することはできません。しかし、鼻水や鼻づまりは睡眠時無呼吸症症候群を悪化させますので、特にアレルギー性鼻炎のある方は鼻炎の治療を行うことで睡眠時無呼吸症候群の改善に繋がることがあります。
・生活習慣の見直し
睡眠時無呼吸症候群の原因となる生活習慣を変えることが大切です。
食事量を減らし運動を増やすことによる減量、禁煙や寝る前の飲酒を控えることなども検討してください。しかし効果が限定的であったり、時間がかかったりしますので、先に紹介したCPAP療法との併用をされることが一般的です。
【睡眠時無呼吸症候群と向き合い質の高い生活を】
睡眠時無呼吸症候群は残念ながら治療では完治しません。
しかし睡眠の質を上げることで日中の眠気が無くなる、集中力が増す、心疾患等のリスクを下げることにより健康寿命が伸びるなどQOL(生活の質)向上に繋がります。
いびきや睡眠不足からくる体の不調を感じている方は一度ご相談ください。
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肥満といびきの関係性
ご家族やご自身が、昔よりもふくよかになられていませんか?また、体型や体重が気になり出したのと同じようなタイミングで、いびきをかくようになったということはありませんか?
実は睡眠中にいびきと無呼吸を繰り返す閉塞性睡眠時無呼吸症という疾患の約70%が肥満の方であり、逆に肥満の方の約40%が閉塞性睡眠時無呼吸症であるとの報告があります。
そこで、今回は肥満といびきの関係性についてです。
【いびきの仕組み】
いびきは空気の通り道である気道が狭くなることで、息を吸ったり吐いたりするときに音が生じる現象を言います。
メタボ体型=ウエストが大きくなる、お腹が出てくるなどの状況をイメージされる方が多いですが、実は内臓脂肪だけではなく首の周りにも脂肪が増えます。気道の周囲に脂肪が増えると空気の通り道が狭くなり、いびきがでやすくなります。
【肥満の目安】
肥満の目安となる指標には、BMI(体格指数)を用います。BMIは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求めることができ、この数字が高いほど肥満の程度が重いことを意味します。
<肥満度の分類>
BMI(kg/m2) 判定
<18.5未満 低体重
18.5以上25未満 普通体重
25 以上30未満 肥満1度
30以上35未満 肥満2度
35 以上40未満 肥満3度
40 以上 肥満4度
【肥満が引き起こす問題】
体重が増えると内臓脂肪が蓄積し、以下のような健康の問題を生じさせます。
・血糖、脂質、尿酸の上昇
・血圧の上昇
・睡眠時無呼吸症候群
・狭心症、心筋梗塞、脳梗塞
・脂肪肝など
【肥満によるいびきの特徴】
肥満が原因となるいびきには以下のような特徴があります。
・仰向けで寝るといびきがでやすい
・狭い気道を空気が通るような音のいびきがでる
・いびきが止まったり出たりを繰り返す
以下に簡単なチェックリストを設けましたのでご自身でも確認してみてください。
<肥満によるいびきチェック:軽度>
口肥満1度以上(BMI値が 25以上)
口仰向けで寝ている時にいびきがでる
口大きな音のいびきがでる
口無呼吸(睡眠中に息が苦しくなる)が1時間あたり5回程度ある
口 口を開けて寝ている
口睡眠の質の低下による疲労感や集中力低下を感じる
<肥満によるいびきチェック:中等度〜重度>
口肥満3度以上(BMI値が 35以上)
口睡眠中に息が苦しくなる
口無呼吸(睡眠中に息が苦しくなる)が1時間あたり 15〜30回程度ある
口大きないびきの後、急にいびきが止まり、また数秒後にいびきが出る
口十分な睡眠時間を確保しても熟睡した感じがしない
口起床時の頭痛(頭重感) 口日中の強い眠気
口夜間頻尿
軽度に2つ以上のチェックが付いた方は軽度の無呼吸症候群、中等度〜重度に2〜3つのチェックが付いた場合は中等度睡眠時無呼吸症候群、 4つ以上のチェックが付いた場合は重度の睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
中等度〜重度の肥満によるいびきの自覚がある場合は、特に食事制限や減量を行い、病院の受診を検討してください。
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家族のいびきがうるさくて眠れない
ご家族、パートナーのいびきがうるさくて眠れない、目覚めてしまうというお悩みをよく伺います。
みなさんはいかがでしょうか?
「家族、パートナーのいびきが気になって眠れない」
という意見がある一方
「いびきを指摘されたが自覚がないし、どう対応していいかわからない、気をつけようがない」
という当事者側の意見もあり、なかなか解決に至らない。
いびきの話をすると喧嘩になってしまうというケースも少なくないようです。
【いびきの原因】
いびきには様々な原因がありますが、代表的な例として3つ挙げられます。
- ストレス、疲労の蓄積
ストレスや疲労が蓄積すると身体が回復するために多くの酸素を取り入れようとします。その影響で口呼吸が増え、いびきが発生するというサイクルに陥りやすくなります。
ストレス、疲労の回復に努めることで軽減される可能性があります。
- 飲酒
アルコール摂取により筋肉はゆるみやすくなります。飲酒により舌やのどの筋肉が緩むことで、舌が喉の奥に入り込み、気道が狭められていびきが発生します。
飲酒によるいびきは飲酒量を減らすなど飲酒習慣を改めることで改善が期待できます。
- 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは眠ることで上気道の筋肉が弛緩し、舌根部や軟口蓋が喉の奥に下がり気道を狭めることによって起こります。いびきのみならず、繰り返し息が止まることにより、日中の眠気、頭痛、疲労感など身体的にも精神的にも支障が出ます。
まずは検査と行い治療することをおすすめします。
【いびきによるストレス】
いびきにより睡眠を妨げられた場合大きなストレスとなります。平均していびきは50-60デシベル程度と言われており、繁華街の騒音と同じレベルの大きさです。
・相手を横向きに寝かせる
・耳栓をする
・いびき解消グッズを使ってもらう
など、応急処置的に対応することで解決すれば問題ありませんが、耐え難いほどのストレスになる場合もあります。いびきは治療により改善する可能性がありますので、パートナーや家族に耳鼻咽喉科での検査をおすすめすることもひとつの解決方法です。
パートナーからの指摘により受診したら睡眠時無呼吸症候群だったというケースも少なくありません。パートナーや家族の健康のためにもよろしくお願いいたします。
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家族性高コレステロール血症とは?
『コレステロール値が高いのは遺伝のせいかもしれません』
さっそくですが、 家族性高コレステロール血症(FH)という病気をご存知でしょうか?
家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)とは、若い年齢でも動脈硬化を発症することが一般の方に比べて多い病気となります。
通常は、運動や食事などの生活習慣が原因でコレステロール値が高くなりますが、 遺伝が原因で、生まれつきコレステロール値が高い方がいます。
「若いころからコレステロール値が高く、薬を飲んでも数値が下がらない」 「家族の中で、若くして心筋梗塞を患った人がいる」 といったことが思い当たる方はいらっしゃいませんか?
そのような方は、もしかしたら家族性高コレステロール血症かもしれません。
大部分の患者さんは、若い頃からコレステロールが高いこと以外、特に自覚症状がありませんが、 一部の患者さんは、コレステロールが沈着した黄色っぽい隆起(皮膚黄色種)が、手の甲・ヒザ・肘・瞼(まぶた)などに見られます。
また、角膜輪、アキレス腱肥厚といった特有の症状もあります。 日本では診断率が1%未満といわれており、見逃されやすい病気です。
若年でもすでに動脈硬化が進行している危険性があり、 治療をしないと、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の発症リスクが高くなります。 食事療法や薬物療法による治療がありますが、いずれも早期発見・早期治療が重要です。
ご自身やご家族で、もしかしたらと思われた場合は、お気軽にご相談ください。
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血圧高めというのはどれくらいのことですか?
血圧とは、血液が心臓から流れることにより血管の内側にかかる圧力の事をいいます。 この血圧が高くなりすぎた状態が高血圧です。
ある程度の圧力は必要ですが、高くなりすぎると様々な病気を引き起こす可能性があります。
ほとんどは本態性高血圧といわれるもので、生活習慣のかたよりと遺伝的な素因とが原因になります。
遺伝的な素因があっても、生活習慣に気を付けるけることで悪化や発症を防ぐことができます。
血圧の正常や高値などの基準は、「高血圧治療ガイドライン2019」に高血圧についてまとめた指針が示されています。
● 正常血圧は 120/80mmHg未満
● 正常高値血圧は 120~129/80mmHg未満
● 高値血圧は 130~139/80~89mmHg
● 高血圧は 140/90mmHg以上 とされています。
これを元に考えると、診察室で測定した高めの状態は、120/80mmHg以上ということになります。
「正常高値血圧」以上でまだ「高血圧」に至らない120/80~139/89mmHgの方は、高血圧へ移行する可能性が高いことがわかっているため、生活習慣の改善が推奨されています。
まだ高血圧と診断されていなくても血圧が高めだと感じたら、食事の際には塩分量を控えることや、運動の機会をつくるなど気軽に始められます。不安のある方はお気軽にご相談ください。
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